解説
入退社・オンボーディング業務の効率化・自動化- 工程分解と、人事労務システム・オンボーディングツール・AI社員の使い分け
AI社員総合センター 編集部
約18分で読めます監修: 高澤皆生

内定者や新入社員が決まるたびに、必要書類の一覧を送り、回収し、足りない分を督促します。戻ってきた書類の不備を確認して差し戻す往復だけで、何日もかかります。入社初日までのアカウント発行やPC・備品の手配、座席と受け入れの段取りも重なります。
こうした段取りが毎回その人の記憶頼りになり、抜け漏れが出ます。退職や異動のときも、退職手続きの書類や社会保険・雇用保険の手続きが発生します。貸与物の回収やアカウントの削除まで、やることを一から思い出してチェックしています。
人が入り、立ち上がり、辞め、異動するたびに、手続きと書類、アカウント、受け入れの作業が生じます。件数が増えたり時期が重なったりするほど、担当者の手は静かに塞がっていきます。本記事はツールや業種に閉じず、入退社・オンボーディングという業務そのものを主役に据えます。どこを自動化でき、どこから手を付けると効果が出るかを整理するハブ記事です。
手段は人事労務システム、オンボーディングやタレントマネジメント系ツール、AI社員に分かれます。人事労務システムは手続きと台帳を、オンボーディング系ツールは受け入れと立ち上げを支えます。三者は競合ではなく役割が違い、入退社台帳やチェックリストの整形はAI社員に寄せられます。勤怠の打刻や日々の労務手続き、採用そのもの、人事事務全般、情シスのアカウント管理は専門記事でご案内します。
結論として、入退社・オンボーディングは手続きを終えれば完了という業務ではありません。手間の多くは、書類の案内と回収や督促、不備の差し戻し、備品やアカウントの手配と回収に残ります。AI社員は案内文と回収状況の追いかけ、不備チェックの一次案、申請書や連絡文、受け入れ資料やFAQの下書きを担います。雇用や社会保険、税の手続きの最終確認と責任、マイナンバーの扱い、処遇の判断は人事や社労士が担います。
目次
なぜ入退社・オンボーディング業務は手間がかかるのか
入退社・オンボーディングの負担が大きい会社では、手続きの申請そのものより、その前後にある『必要書類を案内して集めて督促する』『戻ってきた書類の不備を見つけて差し戻す』『入社初日までにアカウントや備品を抜け漏れなく用意する』『受け入れ資料や案内文を毎回つくり直す』『退職時の手続きと貸与物回収・アカウント削除を一から思い出す』といった事務作業に時間が溶けていることが多いものです。入社・退職・異動は、一件ごとに発生する作業の種類が多いうえ、本人・配属先・人事・情シス・総務・社労士など関係者が多く、誰が・いつ・何を・どこまで終えたのかが見えづらくなりがちです。とくに四月の入社シーズンや繁忙期に件数が重なると、督促と確認だけで担当者の一日が埋まってしまいます。
もう一つの構造的な問題は、入退社・オンボーディングが『正確さ』と『期日』の両方を強く求められる仕事だという点です。雇用契約・社会保険・雇用保険・税に関わる書類は、提出物や期限が決まっており、不備や遅れは本人にも会社にも影響します。さらに本人のマイナンバーや個人情報を扱うため、取り扱いには細やかな配慮が要ります。やることの多くは決まっているのに、案内文・チェックリスト・連絡文が担当者ごとにバラバラだったり、前任者の頭の中にしかなかったりすると、品質が人に依存し、引き継ぎのたびに抜け漏れのリスクが高まります。
つまり入退社・オンボーディングは、『手続きを終える』だけでは完結しません。必要書類をいかに漏れなく案内・回収し、不備を早く見つけて整え、アカウントや備品の手配・回収を抜け漏れなく進め、受け入れの段取りと案内を整え、退職・異動の処理を確実に締めるか——ここまで設計して初めて、入る人がスムーズに立ち上がり、辞める人も気持ちよく送り出せ、会社としても手続きの抜け漏れを防げます。下のチェックリストは、入退社・オンボーディングの手間が重い会社で典型的に見られる症状です。
- 入社のたびに必要書類の案内・回収・督促・不備の差し戻しに追われ、一人分の手続きに何日もかかる。
- 入社初日までのアカウント発行・PCや備品の手配・受け入れ準備が属人的で、毎回その人の記憶頼りになり抜け漏れが出る。
- 受け入れ資料・案内メール・チェックリストが担当者ごとにバラバラで、毎回ゼロから作り直している。
- 退職・異動のときに、退職手続き・社会保険や雇用保険の処理・貸与物回収・アカウント削除のやることを一から思い出している。
- 本人・配属先・人事・情シス・総務・社労士など関係者が多く、誰がどこまで終えたのかが一覧で見えない。
- 繁忙期や入社シーズンに件数が重なると、督促と確認だけで担当者の手がふさがってしまう。
入退社・オンボーディングの手間の多くは手続きそのものではなく、書類の案内・回収・不備の差し戻し、アカウントや備品の手配・回収、受け入れ案内の作成といった事務が、毎回人手のまま残ることにある。
入退社・オンボーディング業務の工程分解 - どこに手作業が残るか
入退社・オンボーディング業務は、業種や職種が違ってもよく似た工程に分解できます。おおむね、①入社準備(内定・入社が決まったら、提出してもらう書類や進め方を整理し、本人へ案内する)、②書類を集める・作る(必要書類を回収し、不備を確認し、雇用契約や社会保険・雇用保険・税に関わる手続きの書類を整える)、③アカウント・備品を用意する(メールアドレスやシステムのアカウントを発行し、PC・備品・座席などを手配する)、④受け入れ・立ち上げ=オンボーディング(初日からの案内、必要な知識やルールの共有、関係者への紹介、立ち上がりのフォロー)、⑤退職・異動の手続き(退職手続きの書類、社会保険・雇用保険の処理、貸与物の回収、アカウントの削除や権限の変更)、⑥記録・棚卸し(入退社台帳や人事情報の更新、チェックリストの締め、手続き状況の確認)、という流れです。
このうち、システムの導入だけでは解決しにくく時間を使うのが、②の『書類の案内・回収・不備チェック』、③の『アカウントや備品の手配・回収の抜け漏れ防止』、④の『受け入れ資料・案内の作成』、そして⑤の『退職・異動の処理の取りこぼし防止』です。台帳や申請のフローはシステムで整えられても、その手前と隙間に残る、本人への案内文づくり、回収状況の追いかけと督促、戻ってきた書類の不備の確認、関係者への連絡、受け入れ資料やFAQの用意、退職時のやること一覧づくりは、件数が増えるほど人手が残ります。本人とのやり取り、配属先や情シスへの依頼、社労士との連携——こうした関係者をまたぐ連絡と確認の作業が、入退社業務を圧迫します。
入退社・オンボーディングの定石は、全工程を一度に変えることではなく、手作業の負荷が大きい『必要書類の案内文と回収状況の追いかけ』『提出書類の不備チェックの一次案』『各種申請書や連絡文の下書き』『アカウント発行・削除の手続き一覧の整理』『受け入れ資料やFAQの下書き』『台帳やチェックリストの整形』から自動に寄せ、担当者の時間を『本人に気持ちよく立ち上がってもらうための対応』『手続きの正確さの最終確認』に振り向けることです。まずは『どの種類の入退社が、年に何件あり、どこで手作業や抜け漏れが発生しているか』を見える化し、効果の大きい工程から切り出していきます。下のチェックリストは、自動化の検討対象になりやすい手作業の例です。
- 必要書類の案内文と回収状況の追いかけ: 本人ごと・入社区分ごとに必要書類を整理した案内文を作り、誰が何を未提出かを追って督促文を下書きする(件数が多いほど残りやすい工程)。
- 提出書類の不備チェックの一次案: 戻ってきた書類について、記入漏れ・添付漏れ・期限切れの恐れなど、確認すべき点の候補を洗い出す一次案を作る(最終確認は担当者)。
- 各種申請書・連絡文の下書き: 入社・退職・異動に伴う社内申請書、配属先や情シス・総務への依頼文、本人への案内文などを、自社の様式と言い回しで下書きする(毎回つくり直しがちな工程)。
- アカウント発行・削除の手続き一覧の整理: 入社時に発行すべきアカウントや付与すべき権限、退職時に削除・回収すべき項目を、対象システムごとに抜け漏れなく一覧化する(取りこぼしが起きやすい工程)。
- 受け入れ資料・オンボーディングFAQの下書き: 初日の案内、社内ルールや制度の説明、よくある質問への回答などの受け入れ資料を、既存の資料をもとに下書きする(属人化しやすい工程)。
- 入退社台帳・チェックリストの整形: 入退社の状況、提出物の有無、手続きの進捗を台帳やチェックリストの形に整え、未完了を見える化する(締めの確認に時間が取られる工程)。
- 01入社準備入社が決まったら、提出してもらう書類や進め方を整理します。本人へ案内します。
- 02書類の回収・作成必要書類を回収し、不備を確認します。雇用契約や社会保険、税に関わる書類を整えます。
- 03アカウント・備品手配メールアドレスやシステムのアカウントを発行します。PCや備品、座席を手配します。
- 04受け入れ・立ち上げ初日からの案内や必要な知識、ルールを共有します。関係者への紹介と立ち上がりのフォローを行います。
- 05退職・異動の手続き退職の書類や社会保険、雇用保険の処理を行います。貸与物の回収と権限の変更も行います。
- 06記録・棚卸し入退社台帳や人事情報を更新します。チェックリストと手続き状況を確認します。
提出書類の不備の最終確認は担当者が行います。
入退社・オンボーディングを支える手段 - 人事労務システム・オンボーディングツール・AI社員の役割の違い(実名は出典リンク方式・中立)
入退社・オンボーディングを支える手段は、大きく分けて考えると整理しやすくなります。第一に人事労務システム(クラウド人事労務・労務管理サービス)は、入社手続きの情報収集、雇用契約や社会保険・雇用保険・年末調整などの手続き、従業員情報の台帳管理を電子化し、紙やExcelでのやり取りを減らす『手続きと台帳を流す仕組み』です。第二にオンボーディング/タレントマネジメント系ツールは、入社後の受け入れ・立ち上げや、配置・育成・情報の一元管理を支える『受け入れと立ち上げを支える仕組み』です。両者は連携して使われることも多く、それぞれ役割が異なります。
第三にAI社員は、生成AI・大規模言語モデルを中核に、本人とのやり取り・各社バラバラの提出書類・社内規程・受け入れ資料・過去の案内文といった『揺らぎのある情報源』から必要な情報を集めて構造化し、自社の手順どおりに、必要書類の案内文と回収状況の追いかけの下書き・提出書類の不備チェックの一次案づくり・各種申請書や連絡文の下書き・アカウント発行や削除の手続き一覧の整理・受け入れ資料やFAQの下書き・入退社台帳やチェックリストの整形を行います。入社区分ごとに違う必要書類、読み解きの要る記入内容、毎回つくり直す案内文や受け入れ資料——こうした、ルールを固定しきれない事務や読み解きの工程を、人の確認を挟みながら巻き取れるのが特徴です。とくに、案内文と督促の下書き、不備チェックの一次案、退職時のやること一覧の整理は、担当者の手と気疲れを大きく軽くできる領域です。
三者は競合ではなく役割分担です。人事労務システムは『手続きと台帳を流す仕組み』、オンボーディング/タレントマネジメント系ツールは『受け入れと立ち上げを支える仕組み』、AI社員は『書類の案内・回収の追いかけ・不備チェックの一次案・申請書や連絡文の下書き・アカウント手続きの一覧化・受け入れ資料やFAQの下書き・台帳やチェックリストの整形』を担います。下記の人事労務・オンボーディングに関わるサービスはいずれも実在の専用ツール・サービスであり、AI社員と組み合わせて使える前提で中立に挙げています。最新の機能・料金・対応範囲は必ず各社の公式情報でご確認ください(優劣を断定するものではありません)。なお、雇用・社会保険・税の手続きの最終的な確認と責任、本人や個人情報・マイナンバーの取り扱い、処遇の判断は、人(人事・社労士など)が行う前提で設計してください。
出典: 各サービスの公式ページ(機能の詳細・最新の料金・対応範囲は公式でご確認ください)。人事労務・オンボーディングに関わる代表的なサービスの一例です。
- SmartHR(株式会社SmartHR) ── クラウド人事労務ソフト(公式表記)。入社手続き・雇用契約・年末調整などの労務手続きと従業員情報の一元管理を支援する。
- ジンジャー(jinjer株式会社) ── 統合型人事システム(公式表記)。人事労務・勤怠・給与など人事関連の業務を一つの基盤で管理することを支援する。
- 人事労務freee(フリー株式会社) ── 人事労務ソフト(公式表記)。入退社手続き・社会保険・年末調整・給与計算などの労務業務を支援する。
- Onn(株式会社スタジアム) ── 従業員オンボーディング支援SaaS(公式表記)。内定者・入社者の受け入れや入社体験づくりを支援する。
- HRBrain(株式会社HRBrain) ── タレントマネジメントシステム(公式表記)。人材情報の一元管理・評価・配置・育成などを支援する。
| 比較項目 | AI社員 | 人事労務システム・オンボーディング/タレントマネジメントツール |
|---|---|---|
| 得意とする領域 | やり取りと書類を整える (入社区分ごとに違う必要書類・本人とのやり取り・記入内容・社内規程・受け入れ資料など形式の揺らぐ情報を読み解き、自社の手順で案内文や督促を下書きし、不備チェックの一次案と各種連絡文の下書きを作る) | 人事労務システムは手続きと台帳の電子化・一元管理、オンボーディング/タレントマネジメントツールは受け入れ・配置・育成の支援を担う |
| 入退社業務での主な役割 | 前後工程を仕組みへ (システムの入口に残る案内文づくり・回収の追いかけ・不備チェックの一次案と、出口に残るアカウント手続きの一覧化・受け入れ資料の下書き・台帳やチェックリストの整形を巻き取り、人の確認を最小限にする) | 手続きを流す仕組みと、受け入れ・人材情報を束ねる仕組みという土台を担う |
| 案内文・連絡文の作成への強さ | 様式と言い回しに沿って下書き (入社・退職・異動の案内文、関係者への依頼文、督促文などを、自社の様式と言い回しに沿って下書きし、担当者が手直しして送れる状態にする) | 通知やリマインドの自動送信、テンプレートの管理に強い。状況に応じた文面の作り込みは人が行うことが多い |
| 抜け漏れ防止への効き方 | やることを洗い出し一覧化 (入社時に発行すべきアカウント・退職時に削除/回収すべき項目・提出書類の充足状況などを対象ごとに洗い出し、未完了を見える化する一覧やチェックリストを整える(最終確認は人)) | 手続きの進捗管理やステータスの可視化に強い。対象ごとのやること一覧の作成や読み解きは人の手が必要になりやすい |
| 費用(目安) | 業務量に応じた個別お見積もり (任せる業務範囲と量に応じて設計。入退社の件数・入社区分の多さ・対応の作り込み・受け入れ資料づくりの範囲に合わせた調整がしやすい) | 利用人数・機能・対応範囲などに応じた料金が一般的。小規模から大規模まで幅がある |
※本比較は一般的な傾向に基づく整理です。人事労務システムは手続きと台帳を流すことに、オンボーディング/タレントマネジメントツールは受け入れと立ち上げを支えることに強みがあり、本記事はその価値を前提に、補完関係としてAI社員を位置づけています。各サービスの機能・料金・対応範囲は各社公式情報が最新です。雇用・社会保険・税の手続きの最終的な確認と責任、本人や個人情報・マイナンバーの取り扱い、処遇の判断は人(人事・社労士など)が行う前提で設計してください。
隣接業務とあわせて進める - 個別業務記事へのご案内
入退社・オンボーディングの自動化は、入退社の工程だけを切り離すより、その前後でつながる隣接業務とあわせて考えると効果が出やすくなります。採用の選考からどう入社準備につなげるか、入社後の日々の勤怠や労務手続きをどう回すか、人事事務全般をどう効率化するか、入社時のアカウント発行・退職時の削除を情シスとどう連携するか——この流れ全体を見渡したうえで、手作業の負荷が大きい書類の案内・回収・不備チェック、アカウント手続きの一覧化、受け入れ資料の下書きから手を付けるのが現実的です。とくに、採用の選考は採用業務や書類選考と、日々の労務は勤怠・労務手続きと、人事の事務処理は人事事務と、アカウントの発行・削除は情シスヘルプデスクと、密接につながります。
ここでは概要にとどめ、各業務の典型フロー・できること・関連ツールとの役割の違い・始め方は、それぞれの専門記事で詳しく解説しています。採用から入社準備までを見直したい場合は採用業務や書類選考の記事を、入社後の勤怠・労務を整えたい場合は勤怠・労務手続きの記事を、人事の事務処理全般を効率化したい場合は人事事務の記事を、アカウントの発行・削除を抜け漏れなく回したい場合は情シスヘルプデスクの記事を、自社で最初に自動化したい工程から個別記事を読み進めてみてください。
- 採用業務: 母集団形成から選考までの流れを入社準備へつなげる(採用業務の自動化/書類選考の記事)。
- 勤怠・労務手続き: 入社後の打刻・勤怠集計・日々の労務手続き(勤怠・労務手続きの自動化の記事)。
- 人事事務: 人事の各種事務処理・問い合わせ対応全般(人事事務をAI社員に任せる記事)。
- 情シスヘルプデスク: 入社時のアカウント発行・退職時の削除・権限変更(情シスヘルプデスクの自動化の記事)。
- 総務業務: 備品手配・座席・社内手続きなど受け入れに関わる総務作業(総務業務の自動化の記事)。
- FAQ・社内ナレッジ: 入社者向けのよくある質問・社内ルールの整備(FAQ・社内ナレッジをAI社員に任せる記事)。
入退社・オンボーディング自動化の進め方 - どこから始めるか
入退社・オンボーディングの自動化を始めるときは、いきなり全工程を変えようとするのではなく、手作業の負荷が大きく、判断の要素が比較的切り出しやすい工程から自動に寄せるのが堅実です。多くの会社で最初の候補になるのは、『必要書類の案内文と回収状況の追いかけ』、『提出書類の不備チェックの一次案』、そして『退職・異動時のやること一覧(アカウント削除・貸与物回収など)の整理』です。これらは、雇用や社会保険の手続きそのものの最終確認・責任に直接は踏み込まず、あくまで担当者が確認・修正して使う下書きや一次案にとどめられるため、正確さを損なわずに手と気疲れを軽くしやすく、担当者の時間を『本人にスムーズに立ち上がってもらうための対応』に振り向けやすくなります。
次に、人事労務システムは手続きと台帳の電子化にこれまで通り使い、オンボーディング/タレントマネジメントツールは受け入れと人材情報の管理に使いながら、その入口にある『書類の案内・回収・不備チェックの一次案』と、その出口にある『アカウント手続きの一覧化・受け入れ資料の下書き・台帳やチェックリストの整形』をAI社員に寄せる併用で検証します。一人あたりの入退社手続きにかかる時間、書類の不備による差し戻し回数、アカウント発行・削除の抜け漏れ、受け入れ準備の取りこぼしなどを導入前後で比較できるようにしておくと、効果を判断しやすくなります。安定したら対象範囲を広げ、より多くの入社区分や退職・異動のパターンへと進めます。
判断の物差しは、システムのライセンス費だけではなく『入退社という一連の業務に、案内・回収・督促・確認・連絡といった手作業がどれだけ食い込んでいるか』『受け入れや退職処理の品質が担当者にどれだけ依存しているか』『繁忙期の件数集中にどれだけ振り回されているか』です。入社シーズンに督促と確認で手がふさがる、受け入れ資料が属人的、退職時の処理を毎回思い出している、といった症状が強いほど、前後工程を自動化する価値が出やすくなります。料金や効果は入退社の件数・入社区分の多さ・対応の作り込み・受け入れ資料づくりの範囲により異なるため、固定額の前提ではなく業務量に応じた個別のお見積もりで検討するのが適切です。なお、雇用・社会保険・税の手続きの最終確認と責任、本人や個人情報・マイナンバーの取り扱い、処遇の判断は、人(人事・社労士など)が行う前提で進めてください。
- ステップ1: 入退社・オンボーディングの工程を棚卸しし、どの入社区分・どの退職や異動のパターンが年に何件あり、どこで手作業(案内・回収・督促・不備確認・連絡・受け入れ準備)と抜け漏れが発生しているかを見える化する。
- ステップ2: 手作業の負荷が大きく下書き・一次案にとどめやすい工程(書類の案内文と回収の追いかけ・不備チェックの一次案・アカウント手続きの一覧化・受け入れ資料の下書き・台帳やチェックリストの整形)を選び、そこを自動に寄せる。手続きと台帳はシステム、最終確認と責任は人に残す。
- ステップ3: 一人あたりの手続き時間・書類の差し戻し回数・アカウント発行や削除の抜け漏れ・受け入れ準備の取りこぼしを導入前後で比較し、対象を絞って小さく併用して検証する。
- ステップ4: 安定後に入社区分や退職・異動のパターンへ対象を広げる。雇用・社会保険・税の手続きの最終確認と責任、本人や個人情報・マイナンバーの取り扱い、処遇の判断は人に残す設計を保つ。
よくある質問(FAQ)
- 人事労務システムを入れれば、入退社の手続きは楽になりますか?
- 人事労務システムは、入社手続きや各種労務手続き、従業員情報の台帳管理を電子化し、紙やExcelのやり取りを減らす土台になりますが、その手前と隙間に残る『本人ごとの案内文づくり』『回収状況の追いかけと督促』『戻ってきた書類の不備確認』『アカウントや備品の手配・回収の段取り』『受け入れ資料の作成』は人手が残りがちです。手間の多くはこの前後工程にあり、ここをAI社員で巻き取り、システムと組み合わせると、手続きのスピードと、受け入れ・退職処理の抜け漏れ防止の両方を高めやすくなります。
- どの工程から自動化を進めると効果が出ますか?
- 手作業の負荷が大きく、下書き・一次案にとどめやすい工程——必要書類の案内文と回収の追いかけ、提出書類の不備チェックの一次案、退職・異動時のやること一覧の整理、受け入れ資料の下書き——から自動に寄せるのが定石です。雇用や社会保険の手続きそのものの最終確認・責任に直接は踏み込まないため、正確さを損なわずに担当者の時間と気疲れを軽くしやすくなります。
- 雇用契約や社会保険のような正確さが必要な手続きを、AIに任せて大丈夫ですか?
- AI社員が担うのは、案内文や連絡文の『下書き』、不備チェックや手続き一覧の『一次案』までです。雇用・社会保険・税に関わる手続きの最終的な確認と責任は、人(人事・社労士など)が行う前提で設計します。下書きやたたき台を用意することで、担当者が案内文づくりや確認の前さばきに取られていた時間を、正確さの最終チェックや本人対応そのものに集中させることが役割です。
- 退職時のアカウント削除や貸与物回収の抜け漏れが心配です。AIに任せられますか?
- AI社員ができるのは、退職・異動の対象者について、削除・回収・権限変更すべき項目を対象システムごとに洗い出し、未完了を見える化するチェックリストや一覧を整えることです。これにより取りこぼしの抑制を狙えますが、実際の削除や回収の実行・最終確認は人や情シスが行う前提です。対象の洗い出し基準は自社の運用に合わせて調整し、人の確認を挟む設計にします。
- マイナンバーや個人情報を扱う業務でも使えますか?
- マイナンバーや個人情報の取り扱いは、法令や社内規程に沿った厳格な管理が前提です。AI社員に任せるのは案内文・連絡文・チェックリストの下書きや、手続きの段取りの整理といった範囲にとどめ、機微な個人情報そのものの保管・参照・提出の最終的な取り扱いは、自社のルールと責任のもとで人が行う設計にします。どの情報をどこまで扱うかは、導入時に範囲を明確にして進めてください。
- RPAとAI社員はどちらが入退社業務に向いていますか?
- 優劣ではなく役割が違います。RPAは決まった画面操作によるデータの取得・転記の反復に強く、AI社員は入社区分ごとに違う書類の読み解き・案内文や連絡文の作成・不備チェックの一次案・やること一覧の整理に強みがあります。システムへの登録・転記といった定型操作はRPA、書類や規程の読み解きと下書き・一覧化はAI社員、というように組み合わせるのが効果的です。
- オンボーディング(受け入れ)の質を上げることにも役立ちますか?
- 受け入れの質は、初日の案内・社内ルールやよくある質問への回答・関係者への紹介といった準備の厚みに左右されます。AI社員は、既存の資料をもとに受け入れ資料やオンボーディングFAQ、案内メールを下書きし、毎回ゼロから作る負担を減らせます。実際にどんな体験を届けるか、どこまで手厚くするかの設計は人が決め、その下ごしらえをAI社員が担う役割分担が現実的です。
- 入退社の件数が少ない会社でも意味がありますか?
- 件数が少ない会社ほど、入退社のたびにやり方を思い出すコストが相対的に大きく、担当者の記憶頼りで属人化しがちです。まずは案内文や受け入れ資料の下書き、退職時のやること一覧の整理から小さく始めると、件数が少なくても抜け漏れの抑制や引き継ぎのしやすさを実感しやすい傾向があります。
- 自動化すると入退社・オンボーディング担当者の仕事はなくなりますか?
- なくなるというより、案内・回収・督促・確認・連絡といった付帯作業から、手続きの正確さの最終確認・本人への対応・受け入れ体験の設計といった人にしかできない仕事へ役割が移ります。AI社員は事務の下ごしらえと下書き・一次案を担い、最終確認と責任、本人対応は担当者が行います。付帯作業に取られていた時間を、入る人がスムーズに立ち上がり、辞める人も気持ちよく送り出せる対応へ振り向けやすくなります。
結論
入退社・オンボーディング業務の効率化・自動化は、『手続きを終えれば完了』ではなく、工程ごとに、どこに手作業と抜け漏れのリスクが残り、何が業務を重くしているかを見極めることから始まります。手間の多くは、手続きそのものよりも、必要書類を案内して集めて督促する作業、戻ってきた書類の不備を見つけて差し戻す作業、入社・退職に伴うアカウントや備品の手配・回収を抜け漏れなく進める作業、そして受け入れ資料や案内文を毎回ゼロから用意する作業が人手のまま残ることにあります。
手段は競合しません。人事労務システムは手続きと台帳を流す仕組みを、オンボーディング/タレントマネジメント系ツールは受け入れと立ち上げを支える仕組みを、AI社員は必要書類の案内・回収の追いかけ・不備チェックの一次案・各種申請書や連絡文の下書き・アカウント手続きの一覧化・受け入れ資料やFAQの下書き・台帳やチェックリストの整形を担います。すでに人事労務システムやオンボーディングツールを使っている会社こそ、『システムを入れても残った付帯作業』からAI社員を試し、入退社を流れごと自動化する価値があります。
まずは手作業の負荷が大きく担当者の気疲れも重い書類の案内・回収や受け入れ資料の下書き、退職時のやること一覧の整理から、システムと併用しながら小さく自動化を検証してみてください。採用から入社準備までは採用業務や書類選考の記事で、入社後の勤怠・労務は勤怠・労務手続きの記事で、人事の事務処理は人事事務の記事で、アカウントの発行・削除は情シスヘルプデスクの記事で、費用の考え方は料金相場の記事で詳しく解説しています。なお、雇用・社会保険・税の手続きの最終的な確認と責任、本人や個人情報・マイナンバーの取り扱い、処遇の判断は、必ず人(人事・社労士など)が行う前提で進めてください。

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