解説
AI社員の作り方- 自社で作るときに揃える3つの材料と手順、製作サービスに頼む分岐
AI社員総合センター 編集部
約8分で読めます監修: 高澤皆生

AI社員は、特別な技術を持つ会社だけが作れるものではありません。必要なのは、任せたい業務を1つ決め、その業務の進め方を言葉にすることです。
AI社員とは、見積作成・受発注入力・請求などの繰り返しの事務を、自社の業務の進め方を覚えたうえで引き受けるAIのことです。作るときの中心は、プログラムではなく「業務の進め方を覚えさせる材料」になります。
本記事では、AI社員を作るときに揃える3つの材料を解説します。そのうえで、役割を書き出してから試作し、答え合わせを経て運用に乗せるまでの手順を整理します。
あわせて、自社で作る場合と製作サービスに頼む場合の分岐も扱います。導入プロジェクト全体の進め方は別記事「AI社員導入の進め方」に譲り、本記事は「作る」実務に絞ります。
目次
AI社員を「作る」とは何をすることか
AI社員を作るとは、AIに特定の業務の役割を与え、その業務を通しで任せられる状態にすることです。ツールを契約したり、画面を設定したりすることは、その一部にすぎません。
中心になる作業は3つあります。任せる業務を1つに決めること。その業務の進め方と判断基準を言葉にすること。そして、AIが業務を覚えるための実例データを用意することです。
この3つが揃っていれば、使う道具が変わっても同じAI社員を作り直せます。逆に揃っていないと、どんな道具を使っても「なんとなく答えるAI」で止まります。作り方の本体は、道具の操作ではなく材料の用意にあります。
AI社員を作る作業の大半は、人が頭の中でやっていた判断を、紙に書き出すことに費やされる。
作る前に揃える3つの材料(業務の棚卸し・判断基準の言語化・データの出し方)
1つ目の材料は、業務の棚卸しです。任せたい業務を1つ選び、何を受け取って何を出すのかを書き出します。たとえば「メールで届いた注文書を読み、受注システムに入力し、担当者に通知する」という形です。誰が、いつ、どの画面で行っているかも添えます。
棚卸しで大切なのは、例外を隠さないことです。「注文書が手書きのときは電話で確認する」「金額が大きいときは上長に回す」といった分岐こそ、AI社員に教えるべき中身になります。担当者に直接聞き、普段どおりの言葉で書き留めてください。
2つ目の材料は、判断基準の言語化です。担当者の頭の中にある「こういう時はこうする」を文章にします。判断に使う項目、その項目をどこで見るか、どちらに倒すかを1行ずつ書きます。迷ったときに人へ回す条件も、ここで決めます。
あわせて、自社で使っている言葉を集めます。「品番」と「型式」を同じ意味で使っているのか、「至急」とは何日以内を指すのか。AI社員は自社の言葉のまま業務を覚えるので、言葉の定義がずれていると判断もずれます。
3つ目の材料は、データの出し方です。AI社員が業務を覚えるには、実際の入力と、人が出した正しい結果の組が必要です。過去の注文書とその入力結果のように、入力と正解を対にして集めます。件数よりも、例外を含む幅があるかを優先します。
データを出すときは、渡す範囲を先に決めます。その業務の判断に必要な項目だけを渡し、業務に関係のない個人情報や対象外の部門のデータは渡しません。どこに置くか、誰が触れるか、いつ・何を渡したかの記録を残すかも、この段階で決めておきます。
- 業務の棚卸し: 任せる業務を1つに絞り、受け取るもの・出すもの・担当者・例外の分岐を書き出す。
- 判断基準の言語化: 「こういう時はこうする」を1行ずつ文章にし、人へ回す条件も決める。
- 自社の言葉の整理: 同じ意味で使っている言葉、社内だけで通じる言葉の定義を揃える。
- データの出し方: 入力と正解の組を集め、渡す範囲・置き場所・触れる人・記録の残し方を決める。
AI社員を作る手順(役割を書く→試作→答え合わせ→運用)
材料が揃ったら、実際に作る工程に入ります。手順は大きく5つです。役割を書く、試作する、過去の実例で答え合わせする、人の確認を挟んで運用に乗せる、覚え直す、の順に進みます。
最初に、AI社員の役割を1枚の文章にまとめます。担当する業務、受け取るもの、出すもの、判断基準、人に回す条件を、棚卸しと判断基準の材料から写します。ここで「何をしないか」も書いておくと、想定外の動きが減ります。
次に、小さく試作します。いきなり本番のシステムにつなぐのではなく、入力を読んで結果を下書きとして出す範囲から始めます。下書きなら間違えても人が直せるので、安心して回数を重ねられます。
試作ができたら、集めておいた過去の実例で答え合わせをします。AI社員の出力と、人が出した正しい結果を突き合わせ、どこで合い、どこで外れるかを記録します。外れた例は、判断基準の書き方が足りないか、言葉の定義がずれているかのどちらかであることがほとんどです。
答え合わせで納得できる水準に届いたら、人の確認を挟んだ形で運用に乗せます。AI社員が出した結果を人が確認してから次の工程へ流す線を引き、その線を守りながら日常業務に組み込みます。安定してきたら確認の比重を下げていきます。
最後に、覚え直しです。運用で見つかった例外や、業務のやり方の変更を、役割の文章と判断基準に書き足します。プログラムを作り直すのではなく、業務の言葉で書き足せる形にしておくことが、長く使えるAI社員の条件です。
- 01役割を1枚に書く担当する業務、受け取るもの、出すもの、判断基準、人に回す条件を文章にします。しないことも書きます。
- 02小さく試作する本番のシステムにはつながず、入力を読んで下書きを出す範囲から始めます。間違えても人が直せます。
- 03過去の実例で答え合わせAI社員の出力と人が出した正しい結果を突き合わせます。外れた例から判断基準の不足を見つけます。
- 04人の確認を挟んで運用結果を人が確認してから次へ流す線を引きます。安定してきたら確認の比重を下げます。人が担う
- 05覚え直す運用で見つかった例外ややり方の変更を、役割の文章と判断基準に業務の言葉で書き足します。
最終確認と例外時の判断は人が担います。
自社で作るか、製作サービスに頼むかの分岐(業務の形で決まる)
3つの材料と手順は、自社で作る場合も製作サービスに頼む場合も共通です。違うのは、材料を誰が書き出し、試作と答え合わせを誰が回すかです。どちらが向くかは、任せたい業務の形でほぼ決まります。
自社で作ることに向くのは、入力がメールや文書のテキスト中心で、出力が下書きや整理で済み、人が最終確認する前提の業務です。社内に試作と答え合わせを回せる人が1人いれば、材料を揃えながら進められます。
製作サービスに頼むことに向くのは、紙やFAX、手書きや自社独自の帳票が入力に混ざる業務です。受注システムや会計システムへの入力まで通しで任せたい場合や、例外の分岐が多い場合も同様です。材料の書き出し自体を一緒に進めてもらえるので、担当者を置けない会社でも始められます。
AI社員総合センターの製作サービスでは、ヒアリングで業務の進め方を整理し、設計と構築を経て運用に乗せる流れで進めます。納品までの期間は業務内容にもよりますが、最短2週間〜1.5ヶ月です。費用は任せる業務の内容に応じた個別お見積もりで、ご相談とお見積もり、専用デモの作成は無料です。
| 比較項目 | 製作サービスに頼む | 自社で作る |
|---|---|---|
| 向いている業務 | 紙・独自帳票・システム入力まで (紙やFAX、独自帳票が入力に混ざる業務。基幹システムへの入力まで通しで任せたい業務) | 入力がテキスト中心で、出力が下書きや整理で済み、人が最終確認する業務 |
| 材料の書き出し | ヒアリングで一緒に整理 (棚卸しと判断基準の言語化を、ヒアリングを通じて一緒に進める) | 担当者と社内の推進役が自分たちで書き出す。当たり前すぎる判断を見落としやすい |
| 試作と答え合わせ | 設計と構築の工程で実施 (過去の実例を使った答え合わせを構築の工程に組み込む) | 社内で回す人が必要。答え合わせを省いて「良さそう」で進めやすい |
| データの扱い | 置き場所・範囲・記録を契約で固定 (預かったデータを学習に使わない方針や消去ルールを秘密保持契約に明記できる) | 使うツールの規約を自分で確認し、渡す範囲と置き場所を自分で管理する |
| 期間と費用 | 最短2週間〜1.5ヶ月・個別見積もり (業務内容に応じた個別お見積もり。相談・見積もり・専用デモは無料) | 外部費用は小さいが、材料の書き出しと答え合わせに社内の時間を使う |
※本比較は一般的な傾向の整理です。最適な進め方は業務内容・社内体制により異なります。
- 自社で作る目安: テキスト中心の入力/下書きや整理で済む出力/人が最終確認する/社内に回せる人が1人いる。
- 製作サービスの目安: 紙・FAX・独自帳票が混ざる/システム入力まで任せたい/例外の分岐が多い/担当者を置けない。
- どちらでも共通: 任せる業務を1つに絞り、3つの材料を揃え、人が確認する線を先に引く。
AI社員を作るときに起きやすいつまずき
作る途中で止まる原因は、道具の性能よりも材料の不足にあることがほとんどです。材料が揃う前にツールの比較から入ると、自社の業務に合わない道具を選びやすくなります。順番は、材料が先、道具が後です。
判断基準を口頭のままにしておくのも、よくあるつまずきです。担当者が「見れば分かる」と言う判断ほど、文章にしないとAI社員には伝わりません。答え合わせで外れた例を使い、その場で1行ずつ書き足していくと、自然に言語化が進みます。
正解データを用意せずに進めると、出力が良いのか悪いのかを判断できません。「なんとなく良さそう」で本番に乗せると、後から見つかる間違いの修正に時間を取られます。過去の実例と突き合わせる工程は省かないでください。
最初から全部を任せようとするのも避けます。下書きを出す範囲から始め、人の確認を挟んだまま運用に乗せ、安定してから範囲を広げるのが確実です。また、個人の環境で作ったまま放置すると、その人がいなくなった時点でAI社員も止まります。役割の文章と判断基準を会社の資産として残してください。
- 材料が揃う前にツールの比較から入らない。順番は材料が先、道具が後。
- 判断基準を口頭のままにせず、答え合わせで外れた例から1行ずつ文章にする。
- 正解データを用意し、「なんとなく良さそう」で本番に乗せない。
- 下書きを出す範囲から始め、人の確認を挟んだまま運用に乗せてから広げる。
- 役割の文章と判断基準を個人の環境に閉じず、会社の資産として残す。
よくある質問(AI社員の作り方)
- AI社員は自社で作れますか?
- 作れます。任せる業務を1つに絞り、業務の棚卸し・判断基準の言語化・データの出し方の3つの材料を揃えることが条件です。入力がテキスト中心で、出力が下書きや整理で済み、人が最終確認する業務なら、社内で進めやすい傾向があります。
- 作るのにプログラミングの知識は必要ですか?
- 中心になる作業は、業務の進め方と判断基準を文章にすることです。下書きを出す範囲であれば、プログラムを書かずに試せる道具が増えています。一方で、紙や独自帳票の読み取りや、基幹システムへの入力まで通しで任せるには、連携の作り込みが必要になります。その場合は製作サービスに頼む方が現実的です。
- 作るのにどのくらいの期間がかかりますか?
- 自社で作る場合は、材料がどれだけ揃っているかで大きく変わります。判断基準が文章になっていて、過去の実例が集まっていれば早く進みます。製作サービスに頼む場合、AI社員総合センターでは業務内容にもよりますが最短2週間〜1.5ヶ月で納品します。
- AI社員に渡すデータは何を用意すればよいですか?
- 任せる業務の実際の入力と、人が出した正しい結果の組を用意します。過去の注文書とその入力結果、問い合わせメールとその返信、といった形です。その業務の判断に必要な項目だけを渡し、業務に関係のない個人情報や対象外のデータは渡さないように範囲を決めます。
- 製作サービスに頼む場合の費用はいくらですか?
- 任せる業務の内容・量・連携範囲に応じた個別お見積もりになります。ご相談とお見積もり、自社の業務を題材にした専用デモの作成は無料です。まずは対象業務を一緒に整理するところから始められます。
まとめ|材料を揃えれば、AI社員は作れる
AI社員の作り方の本体は、道具の操作ではなく材料の用意です。任せる業務を1つに絞り、業務の棚卸し・判断基準の言語化・データの出し方の3つを揃えます。そのうえで、役割を書き、試作し、過去の実例で答え合わせをし、人の確認を挟んで運用に乗せます。
自社で作るか製作サービスに頼むかは、業務の形で決まります。テキスト中心で下書きまでなら自社で、紙や独自帳票が混ざりシステム入力まで任せるなら製作サービスが現実的です。どちらを選んでも、3つの材料と人が確認する線は共通です。
AI社員総合センターでは、業務のヒアリングから設計・構築・運用まで、自社の業務に合わせたAI社員をオーダーメイドで製作しています。「この業務は自社で作れるのか」「材料は何から揃えればいいのか」を確かめたい方は、無料相談と専用デモの作成をご利用ください。まずは対象業務を一緒に整理するところから始められます。

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